2014年チトセアメ読書賞

今回は毎度毎度おなじみとなった(自分にとってのおなじみ、読者にとっておなじみかどうかは気にしていない!)、千歳飴日記・年末恒例読書賞の更新です。


この記事のためにも、毎日の更新のためにも、本についての記事更新をたくさんしようね?と自分に言い聞かせる今日この頃であります。




空白がいっぱい




空白がいっぱい




今年の受賞作はポール・オースターの「ムーン・パレス」です。


ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)


何気にちゃんと千歳飴日記内でも記事で紹介していたりする(リンク)。


あらすじとしては、主人公の大学生、M・S・フォッグが唯一の肉親であったおじを亡くしたことから始まり、ホームレス生活をしたり親友たちに助けられたり奇妙な老人の相手をするアルバイトをしたりしながら、自分の有意味や無意味の曖昧さを日々考えたり、老人の過去や意外な人物との出会いに翻弄されていく……というお話。


ポール・オースター特有の有意味・無意味の問題を根底に含みながらも、偶然・否偶然(小説の中の物語で「必然」という言葉を使ってしまうのは何か違うな?)の出会いに翻弄される登場人物たちの行動や心情の描写がお話として非常に面白い。
両親もいない、唯一の肉親も亡くして、金もないという状況の大学生が、一旦はホームレスになりながらも、誰かの助けを借りながら再び生きていく、何かを得ていくという構図は典型的な青春小説っぽくはありますが、やっぱりわくわくしますね。


「意味があるものとは何か」「偶然とは何か」「人とのつながりとは何か」「自分とは何か」といったたくさんの要素を含みつつも、お話の筋がしっかりしているので、それらの要素がより小説に深みを与えているのもポイント。
基本は大学生が主人公の青春小説ですが、読む人によっては色々なところで共感するかもしれません。


今年度一番のオススメ!




空白がいっぱい




以下、若干の?暴言を含みます。


あと、今年の読書最低賞は……該当作なしです。


いやいや、今年は名作ばかり読んだとか、前評判が良い本しか買わなかったとか、極端に読む本が少なかったとか、そういうわけではないんですよ。
読んだものが特別良い本ばかりというわけでも、特別悪い本ばかりというわけでもなく、平均値なものばかりだった。
たまたま今年は運が良かった(この記事的には書くネタがなかったので、運が悪い)気がします。


インフィニット・ストラトス」が人物・文体・設定のどれをとってもホントにクソだったけど、あまりにも苦痛で途中で読むのをやめてしまったので、選定基準外ということで今年はなしで。
インフィニット・ストラトス」はホントにクソだと思ったけど、「インフィニット・ストラトス」はホントにクソだと思ったけど、ちゃんと全部読むことが選定とか評価とかの必要条件だと考えているので。
インフィニット・ストラトス」はホントにクソだと思ったけど!


なんか千歳飴日記内ではいわゆる「ライトノベル」に対してアレな意見が多いかな、という気がするので弁明しておきます。


ライトノベルは寝そべってお菓子とジュース用意して読むにはちょうどいいから好きなんだけども、それはあくまでも「ライトノベルとして」とか「読み物として」とかの評価が高いレベルでまとまっている本を読むのがいいのであって、それ以外は特に人にオススメできるものではない、というだけです。
全部の本がイスに座って、ノートを取りながら、かしこまって読む必要はないよね。
というか上記の基準を満たすのが読書なら小説なんて大部分が読書ではないな?


ライトノベルの中でも良いものと悪いものがある、と思っているだけです。
イリヤの空、UFOの夏」「神様のメモ帳」「半分の月がのぼる空」、この3作品は少年少女が主人公の小説としては自信を持って人にオススメできる本です。
いわゆるお気に入りです。


神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳 (電撃文庫)


お正月に読むには良い本だと思いますよ。(読んでお正月っぽい気分になるとは言っていない)