書評「ガーデン・ロスト」紅玉いづき

「ガーデン・ロスト」紅玉いづきメディアワークス文庫
読了


今回の更新は、本の書評です。
最近はカードゲームの話題が続いていたので、久々の読書ネタですね。
元々、カードゲームと読書という2つの柱で更新していこうと思っていたので、一方に偏らないようにしないと……。


この書評も分かりやすいように、そのうちカードコラム「愛が欲しい!」(仮)のように名前を付けようかな……。


興味のある方は、下の「続きを読む」からどうぞ。


去年の12月に創刊した、メディアワークス文庫から1月に発行された作品。
著者が元々電撃文庫で本を出していたそうなので、ご存知の方もいるのでは?
残念なことに電撃文庫のほうの作品は読んだことがないので、著者とはこの作品で初対面です。


4人の高校生を主人公にした、4つの短編を収録しています。
高校3年生の春夏秋冬の中で、仲良しグループの関係が少しづつ変わっていく過程と、その結末を描いた作品です。


読み終わって最初に思ったのが、「すごくファンタスティック」な作品だな、ということです。
私の読書量は、本や著者を語るにはまだまだ少ないのですが、それでも雰囲気を出すことが「巧い」と思います。
女性が主人公の作品は感情表現がストレートで、心に来るというか、「本」らしくなるというか。
同じように少女を主人公にする桜庭一樹の作品も、そこが好きなのかもしれません。


またまた、文体が特徴的な人と出会ってしまいました。
(前回は舞城王太郎
物事をそのままの伝わりやすい言葉で表現するのではなく、少し遠回しな言葉で表現しています。
この表現に賛否両論あると思いますが、私は肯定派です。
遠回しな言葉を使うことで、現実の中にあっても、どこか幻想的だった(女子)高校時代の雰囲気が、良く出ていると思います。
私は男なので、女子高校生の心理は、想像の範疇を過ぎませんが。


個人的に「似ている」と思って感情移入してしまったのが、第一章の語り手である「エカ」
エカは周りの人間の様子を必要以上に気にしていて、場の空気が悪くならないように骨を砕いています。
親に趣味の文通を止められても、反発しない。
友達のマルの言動に怒っても、マルの寂しそうな顔を見ると許してしまう。
周りとの関係を何よりも大切にする少女、それが「エカ」です。


そんなエカも、他の語り手たちと同じように最後は答えを見つけたようです。
私も、エカのように自分に答えを出したいな……、と思う今日この頃。


文量が1ページ16行と少ないので、普段はあまり読書をしない人でも読める作品です。
私も今度、友人に紹介しようかな。

ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫)

ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫)